ABOUT メソッド

自己肯定感を高め、
成長を促すメソッド

障害の有無にかかわらず、子どもの能力は正しい理論のもと、適切なトレーニングを積むことで格段に伸ばすことができます。ツナガリMusic Lab.では、子どもたちの挑戦に「できた!」と「やりたい!」の循環を生み出すことを大切にしています。本人の「やりたい!」を出発点に、チャレンジして「できた!」自信と、次の「やりたい!」意欲を引き出す。その経験を重ねることで、自分の可能性を信じられる心の土台「自己肯定感」が育まれていくと考えています。

できた!という自信。やりたい!という意欲

そのためには確かな理論に基づいた分析で子どもたちを理解し、一人ひとりに合わせた支援を織り交ぜて、チャレンジを設計・サポートすることが大切になります。

ツナガリMusic Lab.では、子どもたちとの関わり方のベーシックの理論に、ABA(Applied Behavior Analysis、応用行動分析)の考え方を取り入れています。ABAは障害児療育に用いられている考え方で、ABAセラピーはアメリカでは44の州で保険適応もされている科学的に効果が実証されている療育法です。最近では企業のコミュニケーションやスポーツ科学などへの応用も見られるようになってきました。

本ページではABAの基本的な考え方を解説し、子どもとストレスなく良好なコミュニケーションが取れるきっかけになればと考えています。

「子どもが泣いている」とき、ABAではどのように考える?

ABA(応用行動分析学)は、言葉のとおり「行動を分析」して、人の心を理解しようとする心理学の一種です。目に見えない「心」を、観察可能な「行動と環境」に分けて分析するところがABAの特徴ともいえます。

ABAの基本的な考え方は【人の行動は環境によって引き起こされ、結果(周囲の反応、変化)によって強化される】というもの。そして相手を【叱って正すのではなく、望ましい行動を強化して伸ばす】ところもABAが子ども教育と相性がよい点です。
言葉にすると必要以上に難しく感じてしまうと思うので、ここからは例をあげて解説します。

その1. ABAで「行動の機能」を分析する

例1)ある親子がスーパーに行きました。子どもはお菓子コーナーの前で欲しいお菓子を見つけると、買ってほしいと駄々をこね泣いて暴れ始め、お母さんを叩きました。お母さんはため息をつき「仕方ないな」とお菓子を買ってあげました。

お店で駄々をこねられて困っている親御さんが目に浮かびます。さて、このときのシチュエーション、ABAでは次のように分解することが出来ます。

①(環境)スーパーで好きなお菓子が目の前にある時
②(行動)泣いてお母さんを叩くと
③(結果)お菓子を買ってもらえる。

この「泣いてお母さんを叩く」という行動は、親御さんからしたら『問題行動』ですが、子ども本人にとっては好きなお菓子を買ってもらう為の『有効な手段』であったという認識になります。このようにABAでは【行動の機能】に着目して分析を行います。次の例と見比べてみます。

例2)リビングで親子で宿題をやっています。計算問題で難しい課題にぶつかりました。子どもは「やりたくない!」と泣いて暴れ始め、お母さんを叩きました。お母さんは困ってしまい「ここまでにしようか」といってノートを片付けました。

この場合はいかがでしょう?子どもの行動は次のように分解できます。

①(環境)難しい計算問題になったとき
②(行動)泣いたり、お母さんを叩いたりすると
③(結果)宿題をやらなくて済んだ。

例1と同じ「泣いてお母さんを叩く」行動ですが、今度は【宿題をやらないで済む(逃避)】という機能をもった行動になりました。

このようにABAでは行動を「環境と結果」の関係から分析し、行動を理解します。このように冷静な視点で適切に分析することで、その子に合ったアプローチを考えることができるようになります。

その2. ABAで「行動を強化」して伸ばす・置き換える

ABAでは、行動の機能を分析した後、主に次の対応を考えます。
①環境を変える
②同じ機能である、別の望ましい行動と置き換える
③結果(反応)を変える

たとえば、例1の場合、③の対応として、「泣いて駄々をこねたとしてもお菓子は買ってもらえない」という反応を1週間続けます。はじめはいつにも増して大きな声で泣いてしまうかもしれませんが、すぐに落ち着くようになり、一週間経つ頃にはスーパーのお菓子売り場で泣くという行動はしなくなります。この時、子どもにとっては、駄々をこねることはお菓子を買ってもらうための『有効でない手段』に替わったためです。

そして同時に②の対応として「『これを買ってください』と言葉で伝える」コミュニケーションを子どもに伝えます。行動が定着するまでは、買い物の前にルール確認を行ったり「どうするんだっけ?」と行動を促します。次第に駄々をこねる行動はなくなり、言葉で伝えられるようになります。発達段階として言葉が難しい場合は、メッセージカードを予め用意して、カードを介したコミュニケーションを用意することもできます。

大人にとっても、子どもにとってもコミュニケーションは楽で楽しいものになり、良好な関係のまま成長を促すことができます。

音楽レッスンでのABAの応用

私たちの提供する音楽レッスンにもABAの考え方が取り入れられています。たとえばピアノ演奏のレッスンで躓いたとき「もう一度やってみよう」と繰り返し練習する指導も一つですが、人と音色では現状を分析して躓いた本当の課題を見つけることも重要視しています。たとえば、「ピアノを弾く」行動のステップを細かくしていくと、講師が注目すべき点も変わってくることがわかります。

・ピアノに興味をもつ
・一定時間集中できる
・椅子に座ることができる
・音名を理解している
・指先を分離して動かすことができる
・目を左右に動かして楽譜を追いかけている etc.

子どもにとって「できない」が見つかったとき、このようにその原因を分析することが成長への近道になると考えています。
また指導の方法についても相手の理解度や情報処理の特性によってアプローチを使い分けます。

・指を持って、一緒に動かす
・お手本を見せて模倣を促す
・直接的な言葉(音声)で伝える
・イラスト(視覚)を見せて伝える etc.

ABAは、自己肯定感を高めながら成長を促すことができる。

このようにABAを用いた関わりは、子どものことを冷静に分析した上で、相手の心に寄り添って、自己肯定感を高めながら成長を促していくことができるのです。
その結果子どもだけでなく、周りの大人も楽に、効果的に支援できるようになり、大人の自己肯定感も高めてくことができると考えています。

当社では子どもたちが安心して挑戦できる場が広がっていくように、ABAの考え方をベースとした子どもとの関わり方を保護者や教育関係者に対してお伝えして、ストレスなく良好なコミュニケーションが取れるよう勉強会や個別相談を開催しています。

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